【レポート】凸と凹「マンスリーサポートプログラム」登録先向け集合研修vol.31を開催しました
●日時:2025年6月12日(木) 10:00~12:00
●場所:オンライン開催
●講師:久保田学さん(NPO法人支援センターあんしん 常任理事・事務局長)
●テーマ:「発展計画書」を中心としたあんしん流組織のつくり方
※参加者数13名、平均満足度9.9点(10点満点)
凸と凹「マンスリーサポートプログラム」登録先向けの「集合研修」31回目を、オンラインで開催しました。
北海道、群馬、愛知、岐阜、京都、大阪、福岡、熊本をつなぎ、13名の方にご参加いただきました。
なお、前回の研修内容を踏まえて、今回もChatGPTに報告記事をつくってもらいました↓
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集合研修も、今回で31回目を迎えました。全国からオンラインで集い、学びを共有するこの場は、単なる知識のインプットではなく、実践者同士が「組織のこれから」を真剣に語り合う貴重な時間となっています。
今回、講師として登壇したのは、新潟県十日町市で地域密着型の福祉事業を展開する「支援センターあんしん(以下、あんしん)」常任理事・事務局長の久保田学さん。就労支援や生活介護、グループホームなどを運営する多様な事業の現場から、“あんしん流”の組織づくりの真髄を語っていただきました。
■地域に根ざした多角的な事業展開
あんしんの事業所は、十日町駅を中心に半径600メートル圏内に集まっているという特色を持ちます。トイレットペーパーの製造・販売を行うワークセンターあんしんでは、ふるさと納税の返礼品としても提供し、1,000万円近い売上を実現。この他にも農産物の生産・販売、清掃や給食などの施設外就労、入浴支援を行う生活介護、リフォームによるグループホームなど、多様な働く場を提供しています。
■組織の羅針盤「発展計画書」
久保田さんは、「発展計画書とは、組織が進むべき方向を示す羅針盤」と紹介。あんしんでは、毎年この計画書を更新し、全職員に共有。年に一度は発表会を開催し、目標や方針、心構えを言語化することで、日々の業務判断の拠り所としています。
また、毎朝の読み合わせによって職員全体のベクトルをそろえ、目標達成への意識を醸成する取り組みも行われています。
■人を育て、未来を描くしくみ
あんしんでは人材育成にも力を入れており、中核的な職員の育成や「自ら考えて動く人材」を増やすための仕組みも紹介いただきました。チャレンジシートやランクアップノート、業務メモの活用によって、日々の業務と目標の接続を図っています。
また、「やってみせ、言って聞かせて、メモを取らせる」という実践的な指導法により、現場での成長を促進。
■プッシュからプルへ、未来を引き寄せる発想
あんしんでは、「押しつける(プッシュ)」発想から「引き出す(プル)」発想へと切り替え、働く人一人ひとりが“未来の自分”を描けるよう工夫されています。発展計画書には未来の構想も盛り込み、そこから逆算して今やるべきことを考えます。こうした未来志向の取り組みが、組織の継続的な成長を支えているのです。
■地域とともにある福祉
あんしんでは「福祉は社会のなかで営まれるもの」という考えを軸に、地域企業との連携やクラウドファンディングにも取り組んでいます。現在は「にもプロジェクト」として、寄付募集にも挑戦中。地域と協働しながら、持続可能な仕組みづくりを模索しています。
■Q&A紹介
Q:計画書の作成は本当に2人(会長と久保田さん)で決めているのですか?
A:はい、本当に2人で決めています。ただし、それは日々の積み重ねがあってこそ。日常的に共有された価値観や対話の積み重ねがあるからこそ、2人で決めても全体が納得できます。
Q:忙しい業務のなかで、職員のみなさんはチャレンジシートなどの記入ができていますか?
A:3時間勤務の人など、全員が同じレベルで記入しているわけではありません。記入の進み具合は職員ごとにばらつきがあり、できる範囲で無理なく取り組んでいます。
Q:あんしんの方針に合わない人はどうしていますか?
A:合わないと感じた人は、すぐに辞めていきます。組織としての方針や価値観が明確であるからこそ、合わない場合は早い段階で離職につながりますが、これはネガティブな話ではなく、「何を大切にするか」が共有されている組織であることの裏返しだと考えています。
■まとめ
最後に久保田さんが語ったのは、「まずは自分たちを知ることの大切さ」でした。どんな武器(強み)を持っているのか、何ができるのかを把握した上で、計画書を活用することが、組織づくりの第一歩になります。計画書をつくることが目的ではありません。それを“動かす”ことで、人が育ち、地域とつながり、組織がしなやかに発展していきます。
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最後に、アンケートで回答いただいた参加者の声から、印象的だったものをご紹介します。
■参加者の声~研修を通じて得た学びと気づき~
「3人から始まった法人が、今では100名を超える規模にまで成長していることに大変驚きました。継続的に組織を成長させるための工夫と努力を感じました。」
「チャレンジシートやランクアップノート、発展計画書など、日々の業務に仕組みとして組み込まれた経営の工夫に驚かされました。小さな組織の時から一貫して“チームのベクトルを揃える”ための実践を積み重ねてきた姿勢に学びが多かったです。」
「まちの課題を事業として引き受け、地域に必要とされる存在になっている点が印象的でした。発展計画書や日々の話し合いを通して、140名ものスタッフが同じ方向を向いて取り組んでいるというお話に、組織づくりの奥深さと実践力を感じました。」
小さな規模から出発した法人が、組織づくりの工夫と実践を積み重ねながら、地域になくてはならない存在へと成長していかれた姿に、多くの参加者が感銘を受けていました。
発展計画書を軸に、日々の業務や対話を通じて組織の方向性を共有し続ける姿勢から、規模にかかわらず実現できる「強くしなやかな組織」のあり方を学ぶことができました。
次回の集合研修は「仮想理事会」の回を、NPO法人Sinceをホスト役に7月に開催予定です。
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