【レポート】凸と凹「マンスリーサポートプログラム」登録先向け集合研修vol.30を開催しました

●日時:2025年4月24日(木) 10:00~12:00@オンライン

●参加者:11名/ORGAN、コクレオの森、わくわーく、ソルウェイズ、こども未来(ホスト)、U-mitte、あんしん、Since


★こども未来の現状を共有★


私たちの法人は2023年のWILLに参加させていただいて、「京都府ショートステイプロジェクト」をなんとか立ち上げることができました。

それに合わせて2023年には、放課後等デイサービスと訪問看護ステーションの2事業所も新規開設し、それぞれの事業がいそがしく走り出すこととなりました。

その中で法人の活動は「一部の担当者がやっていること…」「現場とは別の問題。いそがしさがあるから…」といった空気感とともに、現場と法人の思いに隔たりを感じるようになりました。

法人の理念の浸透と、職員さんの思いとのミスマッチという点からは、離職率等についても共有しながら、仮想理事のみなさんに一緒に“次の一手”を考えてもらうこととなりました。


★仮想理事のみなさんとの質疑応答★


法人の現状報告を踏まえ、仮想理事のみなさんからは以下のような質問をいただきました。

(1) 離職率は課題だと思うが、実際の離職理由を職員さんから聞き取りできているか?

(2) 職員さんが不満や課題だと感じていることと法人の思いや活動に乖離はないか?

(3) 法人全体としての上からの話を十分に伝えることができていないのでは?

(4) 情報共有の手段や方法はどうしているか?

といった質問をいただきました。 

質問に答える中で、私たちが実施している管理者会議の運営、進行の中で「どの内容を法人として全職員に共有するのか、しないのか、またその方法はどうするのか?」といったことがまだ整っていないこと、決めきれていないこと自体が理念浸透のための課題となっているのだと整理することができました。

また現場の課題や不満に向き合いながら、遅滞なく改善していく、すぐに解決できなくてもそのために動いていることをわかってもらえるような情報共有の仕方にも課題があると認識することができました。


★あなたが当法人の役員だったら何に取り組みますか?★


その後、各法人のみなさんの実際の取り組みやアイデアを共有いただくことで、私たちが抱える課題解決の種をたくさんもらうことができました

●NPO法人支援センターあんしん・久保田さん

当法人はパートスタッフが圧倒的に多いので、経営計画書の更新を年1回行っている。

それを原則、全員参加で共有する発表会も年に1回行っている。

法人の方向性を全体で確認することができるので、あとはそれぞれの事業所の管理者がより細かいことを折に触れて伝えていくことができている。

●NPO法人ソルウェイズ・高木さん

個人的な印象かもしれないが、障がい者福祉の分野に来られた医療職さんが最初に驚くのが「マニュアルはないのか?」ということ。

ないわけではないが、指示書や処方箋がすべてである病院などの医療施設との違いに面食らってしまうことがあるのではないか。

その点はソルウェイズでも気をつけて対応している。

それでも「見つけた課題をその場で解決していくこと」「マニュアルにないことをNPOの活動としてやっていくこと」が基本方針であることはまず伝えるようにしている。

●NPO法人U-mitte・本間さん

医療的ケア児・重心児のケアや在宅支援を続けていく中で、看護師さんや医療職さんの経験、力は必須。

それでも採用時には「お母さんの手の代わりになってほしい」のだと伝えることで、ベッドサイドケアだけではないという自分たちの支援に対する思いを伝えるようにしている。

●認定NPO法人コクレオの森 岡本さん

自分たちの法人では「会員になってもらうことからすべてが始まる」と説明し、会員としていろいろな活動にかかわってもらえる仕組みをつくっている。

職員になってもらうまで「参加のはしごを登ってもらう(活動参加から関係性を深めていく)」ことで、入職してからのミスマッチが起きにくくなっているのではないか。

●NPO法人わくわーく・小橋さん

一般的に職員が離職したり、ミスマッチが起こる理由は「労働条件、やりがい、人間関係」と言われている。

その中でまず手をつけることができるのは「やりがい」の部分では?

事業所間の職員同士の交流があれば、法人としての一体感も出てくるのではないか。

●NPO法人ORGAN・熊田さん

やりがいをつくることができれば、人間関係が円滑になってくるかもしれない。

そのためにはハッピータイムや雑談といったなにげない時間も大切。

また採用時のミスマッチを防ぐために、「ORGANを使って、あなたは何をしたいか?」を必ず訊いている。

毎年度行う職員面談時にも、職員それぞれが継続してやりたいことを問い続けることも大事。

●NPO法人Since・門脇さん

採用時のミスマッチを防ぐためにも、ボランティアやインターンとして事前にかかわってもらうことで、実際に働き始めた時のイメージを持ってもらえるのではないか。

採用時の入り口でのかかわりを丁寧に持つことが、離職防止ややりがいづくりにもつながるのでは。


★今後に向けて★


今回の仮想理事会では、本当にたくさんのアドバイスや気づきをもらうことができました。

同時に、どの団体さんも似たような課題感を持って、それぞれがんばっておられるのだと改めて知ることができました。

「参加のはしごを登ってもらう中で関係性を深めていく」という言葉にもあるように、現場のいそがしさもありますが、まずは職員さんそれぞれに、法人の活動や思いを知ってもらう機会をきちんと持つことから取り組んでみたいと思います。

法人全体の研修会&懇親会を近く予定しているので、事業所間の職員交流の促進や、私たちが支え合って活動していくことが目の前のお子さんやご家族の支援につながっていることを、意識してもらえる場にできればと思っています。

また機会があれば、その後の私たちがどうなっていったのか、ポジティブなご報告ができればと思います。

その時までがんばります!


文責:新保英典(NPO法人こども未来)

「お金の地産地消」をデザインする:合同会社めぐる

参考:「名古屋市市民活動促進基本方針」(2011年12月)/ 図 資金が地域で回る仕組みのイメージ