【レポート】凸と凹「マンスリーサポートプログラム」登録先向け集合研修vol.22を開催しました

2024年5月29日(水) 10:00-12:00@オンライン

凸と凹「マンスリーサポートプログラム」登録先向け集合研修:第22回「仮想理事会」

●テーマ:事業拡大期を乗り越える組織のつくり方

●参加団体:いぶき福祉会、ORGAN、Chance For All、コクレオの森、ワークショップひなたぼっこ、わくわーく、ソルウェイズ、ひだまり創、光楽園、うりずん、U-mitte(ホスト)/めぐる


仮想理事会という形でみなさまの貴重なお時間をいただき、当法人の課題に対するお話をいただけましたこと、心からお礼申し上げます。


これまで理事会を開くことは、目的達成のためのやるべきこと、タスクでしかありませんでした。また、代表理事と言っても、現場の第一線でチームを引っ張りつつプレイヤーとして手足を動かすと、現場しか見えなくて視座は低くなりがちでした。


しかし、我々の目的は「子どもたちの笑顔をつくること」「家族の生活を支えること」です。基盤ができてくると、子どもたちは「もっと行きたい」と言い、親たちは「もっと通わせたい」となります。地域からは「ここがあればなんとかしてくれる」となり、他地域からも依頼が来て、16万都市の帯広で創業当初の利用見込み(重症児医療的ケア児の統計では人口1万人に対して1人)の20名弱を大きく上回り、現在は40名を受け入れる規模になりました。創業メンバーは法人理念に共鳴してともに走ってきたメンバーでしたが、さらにスタッフも増員し、人財育成に着手しました。創業時をともにした社会福祉法人ふれ愛名古屋の故・鈴木理事長に「いつまでもエプロンして野菜売りをしてないで、早くエプロンを外しなさい、あなたがやるべきことはもっと他にある」と教示され、ハッとしてからはより高く遠くを見ることができるようになりました。現場の基盤をつくる過程では大きな混乱もありましたし、成長痛が半端なかったですが、管理者層の強い精神力、前向きな理念に折に触れ立ち返り、ポジティブ変換しながらみんなに支えられ、乗り越えてきました。


しかし、目的達成のためには次のフェーズに移行しなければならない時がやってきます。単に事業の拡大が目的ではありません、子どもたちの成長が待ってくれないのです。法人の体力を並行して強くしていかなくては拡大もできません。そこで、エンジン部分を強化するためにこの度、「事業拡大期を乗り越える組織のつくり方」を議題にさせていただきました。これからの拡大に向けた事業計画を作成したり、資金調達をする経営層の仲間も2人揃った頃に、その仲間の一人が逝去し、もう一人も余命宣告を受ける病に伏せました。この現実を前に私の決断と実行力が試されることになり、やらねばならない使命感と期待を集めた重責とで、孤独感と恐怖があったのも事実です。


今回の仮想理事会でみなさまにこれまでのお話を聴いていただくことで、孤独からの解放を感じ、温かさと勇気を得ました。また、組織の基盤をつくることの次の行動は、地域の医療・福祉・教育などとつなががることが大切と教えていただきました。ロジックモデルを作成していく過程で、この地域で足りないもの、かつ誰もやっていないもの、その溝を埋めることで地域が活性化し、重症児者や医療的ケア児者が普通に暮らすために必要な資源が生み出される。自分たちがやりたいことではなく、足りないことをやるという、法人の真の使命を改めて気づかせていただきました。


そして、「肩の力を抜いて楽しんで!」というお言葉に、私の原動力が子どもたちの笑顔であり、子どもたちと目一杯遊び、楽しむことであったことを思い出しました。経営を真面目にやりつつ、子どもたちにパワーをもらうために、時間をつくって子どもたちと触れ合おうと思いました。拠点施設をつくることは地域生活をつくることであり、それは子どもたちへの恩返しだと思っています。


この度は貴重な仮想理事会という機会を与えていただき、本当にありがとうございました。


文責:本間多香美(NPO法人U-mitte 代表理事)

「お金の地産地消」をデザインする:合同会社めぐる

参考:「名古屋市市民活動促進基本方針」(2011年12月)/ 図 資金が地域で回る仕組みのイメージ